ペーレウス

表記

 ギリシャ語:Πηλεύς

 ローマ字転写:Peleus

 多くの場合、「ペーレウス」とだけ表記される。

性別

 男。

概要

逸話

 詳細はポーコス - ギリシャ・ローマ神話を参照。

 ペーレウスはプティーアーへと、エウリュティオーンの所に遁れ、彼によって罪を潔められ、彼よりその娘アンティゴネーとその地の三分の一をもらった。そこよりエウリュティオーンとともにカリュドーンの猪狩に赴き、牡猪にむかって投じた投槍がエウリュティオーンにあたり、彼を誤って殺した。そこで再びプティーアーより遁れて、イオールコスへと、アカストスの所に来たり、彼によって罪を潔められた。ペーレウスは彼のために催された競技に参加して、アタランテーと相撲った。そしてアカストスの妻アステュダメイアはペーレウスに恋し、彼にあいびきの申込みをした。しかしペーレウスを説き落とすことができなかった時、ペーレウスの妻に彼がアカストスの娘ステロペーと結婚しようとしていると言い送った。これを聞いてアンティゴネーは自ら縊れた。そしてアステュダメイアはペーレウスをアカストスに無実の罪で讒言し、彼が情交を試みたと言った。アカストスはこれを聞いて、自分が罪を潔めた男を殺すことを欲せず、ペーレウスをペーリオン山中の狩に連れて行った。そこで狩の競争が行われた。ペーレウスは自分の殪した獣の舌を切り取って袋の中に入れたが、アカストスの仲間はこの獣を獲物として、ペーレウスが何の獲物もなかったことを嘲笑った。そこでペーレウスは持っている舌を彼らに示し、これだけ多くの獣を獲たと言った。ペーリオン山中で眠り入った時に、アカストスはペーレウスを棄て、彼の刀を牛の糞の中に隠して帰った。ペーレウスは起きあがって、刀を探している間にケンタウロス族に捕えられて、危ないところをケイローンによって救われた。そしてケイローンは刀をも探し出して与えた。

 ペーレウスはポリュドーラーを娶り、彼女の腹より表面上の子供メネスティオスが生まれたが、彼はスペルケイオス河の子である。後ペーレウスはテティスを妻とした。テティスと結婚せんものとゼウスポセイドーンが争ったが、テミステティスより生まれた子供はその父より強くなるであろうと予言したので、彼らは手を引いた。あるいは、ゼウステティスとの情交に熱心であった時にプロメーテウスが、テティスよりゼウスに生まれた子は天を支配するであろうと言ったと言われ、あるいは、テティスヘーラーによって育てられたためにゼウスと交わることを欲せず、ゼウスは憤ってテティスを人間と居をともにするようにしようと欲したのであるという。そこでケイローンはペーレウスに姿をさまざまに変えるテティスをつかまえて、じっと捕らえているように教えたので、ペーレウスは機をねらってテティスを捕え、あるいは火、あるいは水、あるいは獣になるテティスを、元の姿になるのを見るまで、放さなかった。そしてペーリオン山中でテティスと結婚し、神々は結婚を祝して宴をはり、歌った。そしてケイローンはペーレウスにとねりこの槍を、ポセイドーンは馬バリオスとクサントスを与えた。この馬は不死であった。

 テティスがペーレウスによって赤児を得た時に、これを不死にせんものと、ペーレウスに秘して、夜は火中に隠してその父よりうけついだ死すべき部分を破壊し、昼間はアムブロシアを塗った。しかしペーレウスはテティスを見張り、子供が火の上でもがいているのを見て声をたてた。テティスは自分の目的を果たすことをはばまれ、幼な子を棄てて水のニュムペーたちの所に去った。ペーレウスはその子をケイローンの所に連れて行った。ケイローンは彼を受け取って獅子と野猪の臓腑および熊の髄で養い、アキレウスと名づけた。それまで彼の名はリギュローンであった。というのは彼は乳房に唇をつけたことがなかったからである。

 ペーレウスはその後イアーソーンおよびディオスクーロイとともにイオールコスを破壊し、アカストスの妻アステュダメイアを殺し、その四肢を八裂きにして、彼女の身体を通って軍を市中に導いた。*1

系譜

  • エンデーイス

兄弟、姉妹

後裔

アンティゴネーとの子*2
  • ポリュドーラー
テティスとの子*3

*1:ギリシア神話』p157~159

*2:ギリシア神話』p157

*3:ギリシア神話』p159