アムピトリュオーン

表記

 ギリシャ名:Ἀμφιτρύων

 ローマ字転写:Amphitryon

 多くの場合、「アムピトリュオーン(アムピトリュオン)」とだけ表記される。

性別

 男。

概要

逸話

 エーレクトリュオーンがミュケーナイの王であった時、プテレラーオスの子供達が、タポスの人々とともにやって来て、彼らの外祖父メーストールの領地(あるいは、ミュケーナイの王座)を要求した。そしてエーレクトリュオーンが耳を貸さないので、彼らはエーレクトリュオーンの牝牛を追い去ろうとした。エーレクトリュオーンの息子たちがこれを防いだので、彼らは戦いを挑んで互いに殺しあった。タポスの人々のうち遁れた者は、追って来た牝牛を持って出航し、エーリス王ポリュクセノスに預けたが、アムピトリュオーンが、ポリュクセノスから贖ってミュケーナイに連れて行った。しかし、エーレクトリュオーンは、息子たちの死の復讐をしたいと思って、王国とアルクメーネーをアムピトリュオーンに委ね、自分が帰ってくるまでアルクメーネーを処女のまま守ることを誓わせ、テーレボエース人に対して軍を進めることを企てた。アムピトリュオーンが、牝牛を受け取ろうとしている時、一頭が飛び出したので、手の中の棒を牝牛に投げたところ、棒は角からはねてエーレクトリュオーンの頭にあたり、殺してしまった。そこでステネロスは、これを口実にしてアルゴス全土よりアムピトリュオーンを追放し、ミュケーナイとティーリュンスの支配権を自己の手中に収めた。

 アムピトリュオーンは、アルクメーネーとリキュムニオスとともにテーバイに来て、クレオーンによって罪を潔められ、ペリメーデーをリキュムニオスに与えた。しかし、アルクメーネーが、兄弟の死の仇をうってくれれば結婚すると言うので、アムピトリュオーンは、その約束をし、テーレボエース人に対して軍を進めようとし、クレオーンに協力するように乞うた。クレオーンは、カドメイアから雌狐を追い払ってくれるならば軍を進めようと言った。アムピトリュオーンは仕事に取りかかったが、何人もこの獣を捕えることができないように運命づけられていた。そこでアムピトリュオーンは、ケパロスのところに行って、テーレボエース人からの分補品の分前を与える条件で、プロクリスがミーノースからもらってクレータ島より連れてきた犬を狩に連れて来るように説いた。この犬もまた追いかけたものは何でも全て捕えると定められていたのである。雌狐が犬に追われた時、ゼウスが両方とも石に化した。アムピトリュオーンは、ケパロス、パノペウス、ヘレイオス、クレオーンを味方とし、タポス人の島々を掠めた。ところが、プテレラーオスが生きている間はタポスを陥れることはできなかったが、プテレラーオスの娘コマイトーがアムピトリュオーンに恋して、プテレラーオスの頭から黄金の毛を取り去ったので、プテレラーオスは死に、アムピトリュオーンは全諸島を手中に収めた。アムピトリュオーンは、コマイトーを殺し、分補品を持ってテーバイに航行し、島々をヘレイオスとケパロスに与えた。*1*2

系譜

  • アステュダメイア
  • ラーオノメー
  • ヒッポノメー

兄弟、姉妹

後裔

アルクメーネーとの子*4
  • イーピクレース