ヘルメース

表記

 ギリシャ名:Ἑρμῆς , Ἑρμείας(古形)

 ローマ字転写:Hermes

 多くの場合、「ヘルメース」とだけ表記される。

性別

 男。

概要

 ヘルメースは、神々の使者である。*1

 ヘルメースは、「アルゴス殺し(あるいは、アルゴスの殺戮者)」と呼ばれる。*2*3

 詳細はイオ - ギリシャ・ローマ神話を参照。

逸話

 ヘルメースは、生まれ落ちて最初のむつきで巻かれ箕の上に置かれたが、抜け出してピエリアーに行き、アポローンが飼っていた牝牛を盗んだ。そして足跡によって見つからないように、牝牛の足に靴をはかせ、ピュロスに連れて行き、他のものは洞穴に隠したが、二頭は犠牲に捧げた後、皮を岩に釘づけにし、肉は一部は煮、一部は焼いて、食ってしまった。そして速やかにキュレーネーに行った。そして洞穴の前に亀が草を食っているのを見つけた。これを綺麗に清めて、犠牲にした牝牛から取ったガットをその甲に張り、かくして竪琴を作り出し、かつ撥を発明した。ところがアポローンは、牝牛を探し求めつつピュロスに来て、住民に尋ねた。彼らは子供が牛を追っているのは見たが、足跡が見えなかったので、どこに追われて行ったのか言えないと言った。しかしアポローンは占術によって盗人を知り、キュレーネーのマイアの所に来て、ヘルメースを責めた。マイアはむつきで巻かれているヘルメースを示した。そこでアポローンはヘルメースをゼウスの所へ連れて行って牝牛の返還を要求した。ゼウスがかえすように命令した時に、ヘルメースは盗んだ覚えはないと言ったが、アポローンがこれを信じないので、ヘルメースをピュロスに連れて行き、牝牛をかえした。しかしアポローンは竪琴を聞いてこれと交換に牝牛を与えた。そこでヘルメースはこれを飼いつつ、またシューリンクス笛を作りあげて吹いていた。アポローンはこれをも欲しがって、牛を飼っている時に持っていた黄金の小杖を与えた。しかしヘルメースは笛の代わりにこれを得るとともに占術をわがものとしたいと欲した。そして笛を与えて、小石による占術を教わった。ゼウスはヘルメースを自分自身並びに地下の神々の使者に任じた。*4

 ヘルメースは、ギガースたちとの戦いで、ハーデースの帽子を被ってヒッポリュトスを殺した。*5

系譜

  • マイア

兄弟、姉妹

後裔

配偶者不明(または、なし)*6
  • ミュルティロス

*1:『神統記』p117

*2:『仕事と日』p19

*3:ギリシア神話』p72

*4:ギリシア神話』p145,146

*5:ギリシア神話』p38

*6:ギリシア神話』p179