ペロプス

表記

 ギリシャ語:Πέλοψ

 ローマ字転写:Pelops

 多くの場合、「ペロプス」とだけ表記される。

性別

 男。

概要

逸話

 ペロプスは神々の宴において殺されて煮られた結果、生きかえった時には以前より美しくなり、美貌衆に優れ、ポセイドーンの少年となった。神はペロプスに有翼の戦車を与えた。これは海を通って走る際にも車軸は濡れることがないのであった。ピーサの王オイノマオスには娘ヒッポダメイアがあったが、一部の人々の言うごとくに彼女を愛していたためか、或いは彼女と結婚した男の手にかかって死ぬという神託があったためか、誰も彼女を妻にかち得なかった。というのは父はヒッポダメイアに自分と交わるように説き伏せ得なかったし、求婚者たちは彼に殺されたからである。というのはオイノマオスはアレースからもらった武具と馬とを持っていて、求婚者に結婚を賞として出し、その条件は求婚者はヒッポダメイアを自分の車に乗せてコリントス地峡まで逃げ、一方オイノマオスは武装して直ちに追跡し、追いついた時には彼を殺し、逃げおおせた者がヒッポダメイアを妻とするというにあったからである。かくして多くの求婚者、一説には十二人を殺した。そして求婚者の首を切り取って、自分の家に釘づけにしておいた。

 そこでペロプスもまた求婚に赴いた。ペロプスの美貌を見てヒッポダメイアは彼に恋心を抱き、ミュルティロスに援助するように説いた。ミュルティロスはオイノマオスの御者であった。そこでミュルティロスは、ヒッポダメイアを愛していて、彼女の意を迎えんことを欲し、車輪の轂にくさびを差し込まず、かくしてオイノマオスは競走に敗れ、手綱にからまれ、引きずられて死ぬようにした。しかし一説にはオイノマオスはペロプスに殺されたと言う。オイノマオスは死に際してミュルティロスの奸計を知って、彼がペロプスの手にかかって殪れるようにと呪った。

 そこでペロプスはヒッポダメイアを得、ミュルティロスを従えてある地を通過の際、喉の渇いた妻のために水を持参すべく、少しくその場を去った。ミュルティロスはこの間にヒッポダメイアを犯そうとした。これをヒッポダメイアより聞いてペロプスは、ゲライストス岬で、その名をとってミュルトーオン海と呼ばれる海へミュルティロスを投じた。ミュルティロスは投げ込まれる時にペロプスの子孫に呪いをかけた。ペロプスはオーケアノスに赴いてヘーパイストスによって罪を潔められた後、エーリスのピーサに帰り、それ以前はアーピアーおよびペラスギオーティスと呼ばれ、自分の名によってペロポネーソスと呼んだ所を平らげて後オイノマオスの王国を獲得した。*1

系譜

ヒッポダメイアとの子*2

*1:ギリシア神話』p178,179

*2:ギリシア神話』p180